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【二の2】ちかりん太りしも、皆人他界せぬ事



(他界するだろうと言われ)横の男、呵々と笑ひて「ちかりん痩せなば、輝き余りて見る者の目つぶれむ。ちかりんは、ファンの目を案ずる良き娘なり」と。
また別の男「ちかりんの体重増えたらむは、ちかりんの体積増えたらむ、表面積増えたらむ。この世のちかりんの割合増えたらむ。悲しむべきことやは」と、ことほぎけり。
男あさましがりて「こは正気なりや」と言ひけれど、皆人びくともせず。つひに「ちかりん、ぷに尊し」の合唱に、男すごすご往にけりとぞ。

(訳)
横の男は大声で笑って「ちかりんが痩せてしまったら、輝き過ぎて見る者の目がつぶれるだろう。ちかりんはファンの目を思いやる良い娘である」と。
また別の男は「ちかりんの体重が増えたら、ちかりんの体積が増えているだろう、表面積も増えているだろう。この世のちかりんの割合が増えているだろう。悲しむべきことか、いやそんなことはない」と祝った。ある男は驚きあきれて「これは正気なのか」と言ったが皆はびくともしない。ついに「ちかりん、ぷに尊い」の合唱で男はすごすご去っていったということだ。

(語句・文法)
痩せなば:痩せ(サ行下二段動詞・未然)+な(完了「ぬ」助動詞 未然形)ば(助詞 仮定)
体重増えたらむは:増え(ヤ行下二段動詞「増ゆ」連用形)たら(存続「たり」助動詞・未然形)む(婉曲・仮定 助動詞「む」未然形)は(助詞)
悲しむべきことやは:「やは」は反語。悲しまねばならないことか、いやそんなことはない。

 

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